2026/04/28 08:31

人の気配がない工場なのに、
ふと、そこで働く人の姿が
見える気がすることがあります。

ガシャン、ガシャンと織機が回る音。
大きな輪に巻き取られていく布が、
擦れながら流れていく音。
染色の工程で色を調合するとき、
ビーカーが触れ合うガラスの音。

風景の中に音が閉じ込められていて、
その景色を見つめていると、
音が「人の気配」として
立ち上がってくる。

まるで、黙々と手を動かす姿が、
音になって聞こえてくるような感覚です。

日本には昔から、
長く使われた道具や物に精霊が宿るという
「つくも神」の考え方がありました。

それは迷信というより、物を大切に扱い、
役目を終えるまで使い切ろうとする、
日本人の心の表れだったのかもしれません。

Taenaka no nunoの小物たちも、
長く寄り添える存在でありたいと思っています。

電車のシートや国会議事堂の椅子など、
日々使われ続ける場所で培われた技術を土台に、
丈夫さと美しさを両立させてつくっています。

流行で消えていくものではなく、
使うほどに馴染み、
時間とともに愛着が深まるもの。

できることなら、親から子へ、
子から孫へと、世代を越えて
受け継がれていくようなものを。

それが、つくり手としての願いです。